Billy Vaughn ビリー・ヴォーン / Pearly Shells

Hi-Fi-Record2007-08-28

 「真珠貝の歌」(原題「Pearly Shells」)といえばハワイアンのスタンダードとして、よく知られるメロディ。
 その一方でNHK-FM日曜日の夕方6時、「リクエスト・アワー」のテーマ音楽として記憶に残っている方もおられるかもしれない。いや、思いの外に多いのではないかと、ふと思ったりするのだけれど。


 FMのエアチェック華やかしころの音楽番組だった。DJは石田豊さん。この時間帯の全国ネット放送を仕切るのだから、局アナの方だったはずだ。NHK的に言えば司会ということになるのかもしれないが、自分で選曲されて、自分で話題を構成しておられたのだし、DJとお呼びして良いはずだ。僕の印象に残ったのは、年に数回だったか放送されたヒット曲のシングル盤「B面特集」。なるほど、B面って、ずいぶんとA面と違う曲なんだなあと思っていた。最後の放送は、1987年3月だったという。


 夕方6時になると、ビリー・ヴォーン・オーケストラの「真珠貝の歌」が流れ出し、イントロからヴァイヴによるメロディに切り替わるタイミングで、石田さんの挨拶がかぶってくる。
 番組を聴くうちに、この流れを耳が覚え込んでしまった。
 まるまる2コーラスは変哲の無い4ビートなのだが、3コーラス目にはいるとロッカ・バラード的なオブリガートが響き始め、ほんの少しロックンロールが香る。
 いつの間にか、このオブリガードのフレーズも体に染みこんでしまった気がする。
 ということは、石田さんは相当の時間を冒頭の挨拶に充てていたのだろうか。


 僕が選曲を担当しているTBSラジオの番組「バックグラウンド・ミュージック」でも、夏になるとビリー・ヴォーンの「真珠貝の歌」のリクエストを必ずいただく。葉書には一言が添えられる。
 ビリー・ヴォーンサウンドとメロディは、今も様々な方達の様々な記憶を運んでいるのだろうと思う。(大江田信)


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