Classics クラシックス・フォー / Traces 

Hi-Fi-Record2007-09-20

 クラシックス・フォーは、1965年の末ごろ、アメリカ最南東の州フロリダのジャクソンヴィルで結成された。リードヴォーカルのデニス・ヨストは、当初ドラムを叩いていた。ジャクソンヴィルから北に車で6時間ほどの大都市、ジョージア州アトランタに本拠を構えるビル・ロウリー・プロダクションに見いだされて、アーチスト契約を交わした。
 ビルは界隈随一の音楽ビジネス・マンで、1950年代からすでに音楽出版と原盤制作のビジネスを始めている。ジーン・ヴィンセントの「ビー・バップ・ア・ルーラ」(56年)は、彼の会社の所有だ。著作権のみならず原盤権までも対象としたという点では、これは業界でも相当に早い。
 クラシックス・フォーとは、言い換えればプロダクション・オーナーのビル・ロウリーと、レコーディング・プロデューサーのバディ・ビューイ、そしてバンドのリーダーでほとんどの作品を作曲したジェイムス・コブによる音楽ビジネスだった。



 バンドの音楽の魅力は、デニス・ヨストのボーカル。そして、シングル作品としての楽しみにつきる。くっきりとして胸を突くメロディ・ライン、親しみやすいサビ、明快なサウンド・バランスがいい。
 ホット100にチャートインしたシングルが12曲もある。なかでも本作収録の「トレーシス」は、最高位2位の大ヒット。 アルバムは最高位45位まで上昇した。いわば絶頂期の彼らをドキュメントした作品でもある。

 アメリカ南部生まれのヒットソングに共通する、ほんのりとしたメロウな甘さが香る作品群。シングル・ヒットを旨として生きてきたバンドの潔さが感じられる幸せなアルバムでもある。(大江田信)


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