Shirley Ellis シャーリー・エリス / The Name Game
こないだ「スパイダーマン3」を観ていたら、
新聞社内の一場面で
登場人物が鼻唄を口ずさむシーンがあった。
「マナマナモマニモ◎×△■〒★〜」
と一節だけ口ずさまれるその曲を聴いてドキリとした。
何故なら、それはシャーリー・エリスの
「ネーム・ゲーム」そのものだったから。
パンチの効いた黒人女性キューティー、
シャーリー・エリスのキャラクターは
怪人ソングライター、リンカーン・チェイスが造形したものだ。
リンカーン・チェイスが用意するのは
ナンセンスすれすれの言葉遊び、
手拍子感覚で愉しさを湛えたメロディとリズム。
それを陽性に弾けさせるのがシャーリーちゃんの声。
シャーリー・エリスの短いキャリアにとって
両者の個性は分かちがたく結びついている。
「ネーム・ゲーム」とは
しりとりにも似ている言葉遊びだ。
シングル盤の「ネーム・ゲーム」のジャケには
そのルールが解説してある。
1965年、この曲が子供たちの間で大ブレークした。
「おしりかじり虫」みたいなものか。
で、話は戻って「スパイダーマン」。
この歌がうたえるひとは
65年に子供でなければいけなかったと
読ませたかったのかもしれない。
ちょっとしたアクセント。
それも気の利いたアクセント。
画面の向こうから
不意に投げられたボールをキャッチ出来たような気がして
うれしくなった。(松永良平)