Various Artists / Kerrville Folk Festival Live 1980

Hi-Fi-Record2007-10-31

 メジャー・リーグのワールド・シリーズが終わった。
 なんとなくのひいきチームもあり、テレビ観戦も好きなので、よくNHK BSにチャンネルを合わせる。
 するとどうしても客席が気になる。季節ごとにアメリカにレコードを買いに行く身としては、その時期の気候がどうなのか、寒いのか、寒いとすればどのくらい寒いのかを知りたいこともあり、つい観衆の服装に目がいってしまう。
 なにしろ暑い地域が暑いときのアメリカはとてつもなく暑く、寒い地域の寒いアメリカは、とんでもなく寒いからだ。


 今年のワールド・シリーズ、初戦と第二戦は、マサチューセッツ州ボストンで行われた。
 秋も深まった10月末のこんな時期、ボストンは相当に寒いのだろう、厚着の人たちの姿が目に留まる。と同時に、相当数のTシャツ姿の観衆が見られることには恐れ入った。太い二の腕を出しながら、半袖のTシャツ姿で騒いでいる。


 Tシャツはアメリカ人の国民着といってもいいような服装だ。
 ダウンタウンのビジネス街を離れれば離れるほど、周囲の人々の服装は当たり前のようにTシャツ姿になる。


 このジャケットにボーダーのTシャツを着て映っているのは、ゲイリー・P・ナン。テキサス州カーヴィルで行われているフォーク・フェスティヴァルの一端を写し取った写真だ。
 1972年の第一回以来、これまで長く続いているフォーク・フェスティヴァルで、プロの演奏を楽しむステージもあれば、参加者が作品作りを共にするワークショップも催される。
 当初はテキサス界隈のフォーク、カントリーのアーチストの参加が目立った同フェスだが、少しずつ様々なタイプのアーチストが参加するようになる。
 1980年の本盤には、まだまだ出生街道を走り出したばかりのルシンダ・ウィリアムスの顔も見えるし、60年代から活動を続けているスパイダー・ジョン・コーナーの渋いのどを聞くことも出来る。


 ぼくのお目当ては、アンクル・ウォルツ・バンド。
 メンバー3人のうち、1990年代にその2人が亡くなってしまったバンド。残されている音源の数も多くない。フォーキーでリラックスした軽くジャジーサウンドに、さらっとしたハーモニーを乗せる。
 そんな彼らのすてきなライヴが収録されている。
 Tシャツ姿でにこやかに笑うゲイリー・P・ナンのジャケットに、とってもよく響き合っているサウンドだ。(大江田信)



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