New World Band ニュー・ワールド・バンド / New World Band
なにも「ハッスル」までやることはないだろう。
オクラホマの音楽好きな若者たちが
集まって結成したバンド、
そこそこ自信も出てきたのか、
お金を出し合ってレコードをつくることにした。
しばし、
妄想を彼らのいるスタジオの中に飛ばしてみよう……。
問題はレパートリーだ。
いつもの店では
客のリクエストが中心で
イーグルスでも何でも演奏しなくちゃならない。
だけど、
おれらにだって自分たちで書いた曲がある。
たいていは受けない。
誰も知らないからだ。
でもレコードをつくるからには
やっぱり自分たちの曲でやらなくちゃダメだ。
どこかの誰かがこれを聴いて、
大都市のレコード会社に届けてくれないとも限らない。
自分たちってものを示さなくちゃ。
だけどさ。
おれらのライヴを見にくる客は
知らない曲ばっかりだと買わないかもよ。
そこはひとつ
前向きに考えようぜ。
んん、ああ（抵抗とも弱気とも取れない相づち）。
たぶん、そういう感じで
この「ハッスル」は入ったんじゃないかな。
そして、このレコードが
どこかの誰か偉いレコード会社のひとに聴かれることも
なかったんじゃないかな。
バランスの悪い選曲の中で
居心地悪そうに、
しかし、今の耳では魅力たっぷりに
彼らのオリジナル曲は輝いている。（松永良平）
