ムッシュかまやつ / 「二十才のころ/ノーノーボーイ」
壁にディスプレイしてあるCDに目を止めて、「かまやつひろしのCDがある。あ、ノーノー・ボーイをやってる」とお客様が仰った。
その言葉を受けて、「子供の頃に、ぼくは歌詞の『今夜はダメなの』の意味がわからなくて」とお応えした。
「そうそう、『ドアの外で、ちょっとだけ』の意味も分からなかった」とお客様が続けられた。
ここで言う「子供の頃」というのは、お客様と僕の小学生時代の話である。
『今夜はダメなの』って、何がダメなんだろうと思いながら、ぼくはせっせと歌詞を覚え、テレビで歌うかまやつさんの声に合わせてうたっていた。
「『ドアの外で ちょっとだけ』って、何するんだろうと思ってさ」
「わかんないですよねえ」
「それにしても、あんなにカッコイイ歌をうたっている人はいなかったなあ」と、会話が続いた。
まったく同感です。
歌詞の意味は分からなくても、カッコイイことはわかる。カッコイイってことは、そうだ、子供にも分かることなのだと、思わず自分を振り返ったのでした。(大江田信)