Anita Kerr アニタ・カー / Touch Love
50年代のデッカ、60年代前半のRCA、60年代の後期にはワーナーと所属のレコード会社を移り変わりながら、アニタ・カーの仕事は、コーラス・アンサンブルから、プロデュース、オーケストレーションと広がりを見せてきた。
スイスに移住する前後、60年代後期に所属していたドットにおいては、様々な音楽的な試みを加えた作品を残している。
そのひとつ。
アニタ・カーがピアノを演奏した作品がこれだ。
自信でプロデュースにあたり、プロデュース補にはご主人のアレックス・グローブがあたっている。
軽快にスキップする作品や、ブラスが踊りストリングスが空を舞う作品もあるけれども、全体から受ける印象は、深く穏やかな安息に満ちたもの。ふと深呼吸をしたくなるような、静かで平穏な空気が漂っている。
おそらくここに記された「Love」は、神からの恵みの愛を意味しているのだろう。彼女は、とても敬虔なクリスチャンで、そうしたゴスペル的な作品も残している。
それはそれとして、ここで響いている音楽のたおやかさは、こうして年の暮れに針をのせるレコードにふさわしいもの。
心のうちのなにかを、静かに肯定してくれる力に満ちている気がする。(大江田信)
----------------------------------------------------------------------------------
ことし一年、Voices In Hi-Fi にお付き合いくださり、ありがとうございました。
その日その日、店内にあるレコードをターンテーブルに乗せて、つれづれを書いてきました。
ハイファイ・レコード・ストア同様に、新年も変わることなくおつきあいいただければ、大変にうれしく思います。
新年は、ハイファイ・レコード・ストアの営業開始日、1月5日より再びブログをスタートしたします。
皆様、どうぞよいお年をお迎えください。