V.A. / Live At Extemp
Extempore Coffeehouseは、1965年に開店したミネソタ州ミネアポリスのコーヒー・ハウス。
1975年4月から5月にかけて行われたライヴの模様を収録したアルバムがこれ。
街のフォーク、シンガー・ソングライター・シーンの中心的な存在だったのだろう。
毎日のようにしてライヴが行われ、思い思いに歌が歌われ、そして励まされて磨かれ、時には失意を抱いた場所。
デビュー前のマーク・ヘンリーとメアリー・マクレガー、そして一時期ミネソタで暮らしていたマイケル・ジョンソンの3人によるトリオもこの店に出演している。
ビジネスの中心地、ミネアポリスと、行政の中心地、セント・ポールは、ミシシッピー川を隔てて、まるで双子のようにして広がっている。地元の人たちは、この二つの街をツイン・シティと呼び慣わす。
ミネソタ州のほぼ真ん中に位置しているツイン・シティ。ほかには都市と呼べるほどの規模を持つ街は、ないと言っていいほどの広大さ。人々のエネルギーがぎゅっと集まっている気がする。
ミネソタのフォーク、シンガーソングライターに、どうしてこれほどの魅力があるのか、とにかく逸材の宝庫だ。
厳しい寒さをやり過ごし、やっと春の兆しを感じるミネソタの4月と5月。まだまだ寒い季節に、人々は、例えばこういう場所に集って、歌を聴き、お茶や酒を飲みかわしながら集い合うのだろう。
明るい店内がほの見えるジャケットも、流れてくる普段着の音楽も、とても素晴らしいレコードだ。(大江田信)