The Ames Brothers エイムス・ブラザース / Desitination Moon

Hi-Fi-Record2008-02-04

あれは何歳のころだったか、
お寺で町の子供たちを集めて
東映まんがまつり」の上映会があった。


メーンイベントは
「地球攻撃指令 ゴジラVSガイガン」。
資料を見ると昭和47年公開となるが、
それじゃぼくは4歳だ。


さすがにもうちょっと歳を取っていたはずで
あれは小学校2年生くらいではなかったか。


二番館、三番館……、
十番館、百番館ぐらい回ってきたであろう
子供向けプログラムの成れの果てという感じで
フィルムの傷と退色が印象に残っている。


そのとき、
ぼくの心をもっとも強くとらえたのは
ゴジラではなかった。


添え物的に上映された
キャプテンウルトラ」にこそ
しびれたのだ。


超モダンなテーマ曲は
冨田勲作曲だとのちに知ったが、
円谷プロではなく東映の制作であったこの特撮番組、
チープの極みであった。


ウルトラマン」や
ウルトラセブン」では感じなかった
あからさまに書き割りな宇宙空間が、
そこにはあった。


この宇宙はとても作り物っぽい。
あの宇宙人はぬいぐるみかもしれない。
その宇宙船は段ボールかもしれない。


しかし、
逆にその方が燃えた、
いや、萌えたのだ。


本物らしく見せることよりも、
ばればれの偽物を本物だと言い張り、
強引に押し通すことの方が勇気が要る。


その勇気の方に
子供心ながら動かされていたのだと思う。


エイムス・ブラザースのいる宇宙空間も
もちろん書き割りである。


ここにはショウビズというかたちの
割り切りと勇気がもたらすファンタジーがある。


そして、
この書き割りは、
エスキヴェルの傑作
「アザー・ワールド、アザー・サウンズ」にも
流用されている。


その現実的な裏話もまた
現代から見ればひとつのファンタジーじゃないのか。(松永良平


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