Klaatu クラトゥー / Hope
クラトゥーという名のグループには
ビートルズの変名かもしれないという
うわさがあった。
そんなほほえましいエピソードは
ぼくが東京に来た80年代の終わりあたりまでは
ちょっとした小ネタだったと思う。
今、そんなことを
真に受けるひとはいないだろうし、
そういうエピソード自体が
すでにマイナスにしかなっていないのではないか。
いや、もっと言えば、
カナダのこの実力派グループについて
何かを知っているということ
それ自体が
すっかり珍しいことになってしまっている。
古いロック雑誌をめくると、
そういう根も葉もない覆面グループについての
うわさの系譜というのは結構ある。
マスクド・マローダーズという
黒いジャケットのグループのレコードは
ひょっとしたら
ミック・ジャガーやら誰やらが歌っているのではないかという
まるで信憑性のないうわさだけで
日本でもレコードが発売されたという。
実は、
そのマスクド・マローダーズのレコードも
ハイファイにはあったりする。
彼らの正体は
ヴァンガードにもアルバムがある
クリーンリネス&ゴッドリネス・スキッフル・バンドだったと
今では判明している。
クラトゥーの正体は
誰だったのだろう。
このアルバムの一曲目
「We're Off You Know」を聴くと
ポール・マッカートニーがELOしたような良い曲で
この曲を書いたメンバーのソロ作などないかいなと
ついつい思ってしまうのだ。(松永良平)