Peter, Paul & Mary ピーター、ポール・アンド・マリー / Album

Hi-Fi-Record2008-03-01

 ボブ・ディランを関連の話題は、相変わらずホット。
 複数の俳優がディランを演じる伝記的な映画「I'm Not There」の日本公開は、ゴールデンウィークを予定しているそうで、これは楽しみだ。そういえばアカデミー賞助演女優賞の候補となったケイト・ブランシェット演じるところのボブ・ディランの映像が、朝のワイドショーでほんのちょっと流れ、おっと身を乗り出してしまった。早く映画を見たい。



 ボブ・ディランの伝記は、自身による著作が一番おもしろいのは間違いないのだが、思いもかけず絶妙にディランが描かれている本に出会った。
 それはジョーン・バエズの自伝。
 よく知られているように、かつてバエズとディランは恋仲だった。
 「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のジャケットに登場するディランの恋人、スーズ・ロトロとの仲が終わるか終わらないかのうちに、バエズとの関係が始まっている。
 バエズの自伝には彼女とスーズ・ロトロのお互いがディランから二股をかけられていたことを語り合うシーンが描かれていて、そのあけすけで率直な描写には思わず笑ってしまった。ディランに対しての辛辣なまなざしにも、興味を引かれる。



 ピーター、ポール&マリーの「Album 1700」には、ディランの初期作品「ボブ・ディランの夢」がピーター・ヤーローのボーカルで収録されている。
 ピーターはディランの作品に早くから高い評価を与えていた一人だろう。グループとして「風に吹かれて」をヒットさせて、ディランへ時代の耳目を集めることに多大な寄与をした。
 そのピーターが選んでいる歌が、若き日をディランが回想する「ボブ・ディランの夢」というところが、またいい。青春を回想するほんのりした甘さとほろ苦さが、ゆるやかな湧水のようにあふれて来る歌だと思う。(大江田信)
 


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