Peter, Paul & Mary / Late Again
ソフトロックと言ってしまうには抵抗があるけれど、
シンガーソングライター時代の気配と
60年代後半の洗練されたMORが
じわりと彩りを与えている。
ピーター、ポール&マリーの「Late Again」は、
そんな意外な驚きを感じさせてくれるアルバムだ。
これは名盤と言ってもいいんじゃないですか?
そう大江田さんに言ったら、
その答えは意味深なものだった。
確かにそう言ってもいい
レベルの高い内容なんだけど、
ファンにとっては複雑なんだ。
69年という時期、
彼らはすでに解散を意識していて、
あまり共同作業をしていない。
別々に吹き込んだような曲が多くてね。
評価はしているのだけど
心情的に歓迎出来ないというか、
そんなほろ苦い感じで
大江田さんはこのアルバムのことを表現した。
失礼ながら、
PP&Mなんて古くさいフォーク・トリオだと
頭ごなしに決めてかかっているロックファンは
未だに決して少なくない。
真面目すぎるほど真面目で
グループ内の人間関係が作品なんかに
あらわれるはずもない。
だってロックじゃないんだからさ、
なんて高をくくったりしている。
それはすごく損だ。
たとえば、
このアルバムを
ビートルズの「ホワイト・アルバム」のように
考えて聴いてみたっていいじゃないか。(松永良平)