The Chad Mitchell Trio / At The Bitter End
チャド・ミッチェル・トリオはニューヨークの名門フォーク・グループ。
主宰のチャド・ミッチェルを中心に、50年代末から60年代中期にかけて、活動を続けた男性トリオだ。後年になるとチャド・ミッチェルが抜け、その後はミッチェル・トリオと名乗った。
この間には様々なメンバーが出入りした。その顔ぶれにはジョン・デンバーやマイケル・ジョンソンなども加わっている。
このアルバムは、トリオの最初期のもの。
彼らは楽器の演奏をしない。
ここではビル・リー(スパイク・リーのお父さん)がベースを弾き、フレッド・ヘラーマン(ウィーバースの一員)がギター、そしてロジャー・マッギンがバンジョーとギターを弾いている。ロジャー・マッキンは、ジム・マッキンと表記されていて、このアルバムのみならず、他の作品でもトリオのバックアップを勤めた準レギュラー的な一員だ。
この時期、彼はニューヨーク界隈で活動していた。のちにロスアンジェルスに向かい、バーズを結成してヒットを連発した。
フォーク・ロックに転じることになったきっかけはビートルズだったと、グリニッジ・ヴィレッジのコーヒー・ハウス、"フォーク・シティ"のドキュメント本でインタビューに答えていた。
チャド・ミッチェル・トリオは、ハリー・ベラフォンテのカーネギー・ホール・コンサートに、オデッタらと共に招かれて、一躍その名を広めた。
それもアーチスト・プロモーションのひとつだったのだろうか。アルバムには、A Production of Belafonte Enterprise, Inc. の文字が読み取れる。
一枚のアルバムのクレジットから、いくつかのストーリーがこぼれてくる。(大江田信)