Patti Page パティ・ペイジ / The Waltz Queen
「星影のワルツ」とか「東京ブギウギ」とかを聞いていると、面白いなあと思う。うたの不思議を感じるからだ。
「星影のワルツを歌おう」と歌いながら、千昌夫はいまワルツを歌っている。そのタイトルが「星影のワルツ」。「君と踊ろよ 今宵も月の下で」と笠木シズ子が歌うのが「東京ブギウギ」。
つまりうたの構造が入れ子になっている。
人形の中に人形が入っているロシアのマトリョーシュカ人形とか、その元ネタとなったと言われる箱根細工の入れ子人形とか。多少コンピュータをいじる人だったらわかるだろうないけれども、もう一つ別のスクリプトを飲み込んでいるスクリプトとか。
入れ子の様子だ。
そうだ、モノプロの食器も入れ子にして収納することが出来るものだった。
うたを歌っている自分を歌う"うた"。あるいは踊っている自分を歌う"うた"。
典型は、テネシー・ワルツ。
テネシー・ワルツを踊っていたら、わたしのいい人を取られちゃったと歌う「テネシー・ワルツ」。
歌ったのはパティ・ペイジ。
その後に続いた「ワンワン・ワルツ」などを含め、あまりの大ヒットゆえに、彼女はかつてワルツ・クィーンと呼ばれた。マーキュリー在籍時代のパティ・ペイジのイメージを決する言葉ともなった。そのアルバム。(大江田信)