Geoff Love And His Orchestra / Love With Love
ラジオの選曲の仕事をしている。この前に担当していてた番組から併せれば、もう都合20年以上もこの仕事をしているのだから、世に言うベテランということになるのだろう。しかし、どうも慣れない。
こんなに長く仕事としていて、いまさら慣れないもなにもないとも思うけれども、先日も小原孝さんのピアノ曲を選曲したら、担当の若いミキサー女史に「小原さん、好きですよねえ」と言われて、ひどくどぎまぎした。
選曲とは、なにかしら人柄がのぞくもの。
パーティで様々な人たちのDJを聞いていても、そんな気持ちになる。またそれが楽しくもある。
仕事として選曲しているのだから、もちろん好きな曲を並べている訳ではない。
でも嫌いな曲をかけるのも、つらい。悩みつつ答えだしているつもりなのだが、そこにボクという人間の何たるかが映り込んでいるのだろう。「小原さん、好きですよねえ」と言われ、そっとしまっておいたものが白日の元に見つかってしまったような気がして、恥ずかしかったのだ。
こんな歳になって、言うようなセリフじゃないのだけれども。
ジェフ・ラヴのオーケストラが好きだ。なかでもストリングスものがいい。
飽きないのだ。
好きなものをどうして好きなのか考えるのがクセなので、ジェフ・ラヴを聞きながら、これまたどうしてなのだろうと考える。
その秘密はまだよくは解らないのだが、彼のアレンジにおけるテンポの設定にあるのではないかと、このところ思うようになった。要するに、ちょっと遅いのだ、ほかのオケの演奏に比べて。
中域の楽器をうまく生かしているなあとも思う。そういえば彼は、子供の頃にトロンボーンの経験があったのだった。始めはヴァイオリンを習っていたのだが、途中からトロンボーンに転向したという。
このあたりに秘密があるのではないかと思いながら、繰り返し聞いていて、やっぱり飽きないのだった。(大江田 信)