Franck Pourcel フランク・プウルセル / Pourcel Portraits
収録の「恋のシャリオ」について少し。
この曲のオリジナルの原題は、フランス語で「Chariot」。
英題となると「I Will Follow Him」。
邦題は「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」、または「恋のシャリオ」が、時と場合に応じて使用されている。
というわけで「恋のシャリオ」と「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」のふたつは、実は同じ曲。
「Chariot」はペトゥラ・クラークによってフランス語で唄われフランスでヒット。ベティ・クルティスが唄ったイタリア版「Chariot」も同国でヒットした。
「I Will Follow Him」の方はリトル・ペギー・マーチによって唄われ、アメリカでヒット。
それぞれが、ほぼ同時期の出来事だった。
ペトゥラ・クラークで聞くとシャンソン風、ベティ・クルティスで聞くとカンツォーネ風、そしてリトル・ペギー・マーチで聞くと60sアメリカン・ポップス風に聞こえてしまう自在なメロディ。
これがおもしろい。
この曲はポール・モーリアとフランク・プウルセルの共作によるもので、ヒットした60年代の初頭当時はモーリアとプウルセルの名前は用いられず、ふたりの変名によって発表された。
そんなことから、フランク・プウルセルのオーケストラによる演奏のほか、ポール・モーリア版、そして「I Will Follow Him」のヒットに触発されたパーシー・フェイス版など、60年代初頭のヒット時点で録音された米仏の複数のポップス・オーケストラ音源を見いだすことが出来る曲だ。(大江田信)