Cathy Fink キャシー・フィンク / Doggone My Time

Hi-Fi-Record2008-04-26

 バンジョーで弾き語りをする美しき女性。バンジョーの弾き語りがそもそも珍しいのに、本格的な技量を表現しながら女性が演奏しているのは、もっと珍しい。1982年のレコード。


 それとなく聴いているうちに、ぐっと惹き込まれたのは「My Old Kentucky Home」と「I'm So Lonesome I Could Cry」が収録されているから。このうちの「My Old Kentucky Home」について少し。


 「My Old Kentucky Home」はギターの弾き語りで歌われる。
 ケンタッキーの古い家についての歌。
 家族と家庭と、そしてそれらを守る地域と人々の幸せな光景が描かれるところから、歌が始まる。


 アメリカは故郷喪失者たちの国だという言い方が有る。先住民族をのぞけば、つまりアメリカをつちかった多くの人々は、故郷を喪失してアメリカに集った。あらかじめ故郷を持たない人たちの国として、始まった国だということだ。
 胎内に流れるそうした思いが、故郷への渇望を生む。それをもっともよく表現するのが、「Home」という言葉になるのだろう。Home Town、Home Place、Back To Homeなど、Homeがつく言葉は歌にさりげく登場する。


 Homeを求める国、アメリカ。こんなことを思いながら、キャシー・フィンクの歌を聴く。(大江田信)


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