V.A. / Home Grown

Hi-Fi-Record2008-05-02

 「ホーム・グロウン」は、ホノルルのFM局、KKUAが主催したハワイの若い世代の音楽公募プロジェクト。1976年に始まり、1980年までの間にLPレコード4枚にその成果がまとめられた。


 これはその3枚目に当たるもの。裏ジャケットには、76年のファ−ストが6万7千枚、77年のセカンドが7万8千枚売れたと書かれている。そして「これは事故ではない」とも書かれている。なんとも微笑ましいコメントだ。


 ハワイ州の人口は100万人ほどなので、確かにこれは一家に一枚レコードがあったとしても可笑しくないほどの数字だ。それほどにヒットした企画だった。そもそも公募音源をレコード化したものだから、それほど経費がかかっておらず、レコードの売価が2ドルもしなかったこともヒットの背景にあったらしい。


 このホームグロウンのテレビ番組がある。ホームグロウンとはどういう意図のもとに行われているムーヴメントなのかを説明したあと、複数のアーチストが演奏している映像が折り込まれる。
 このVTRを見た。
 演奏は、ほとんどが口パクだ。
 ちょっとあり得ないシチュエーションで演奏が行われていて、これまたなんとも微笑ましい。


 いちばん楽しかったのが、エマーソン・ブラザースの演奏だ。
 ソル・フーピー張りのダイナミックでアクロバチックなアコースティック・スチールの演奏を、つぶさに眺めることが出来る。


 彼らの唯一のアルバムももちろん素晴らしい内容だが、実はぼくはこちらのオムニバスに収められた彼らのぶち切れそうなエネルギーにあふれている演奏こそが、最高だと思っている。若さの無鉄砲さが、そのまま音のかたまりになっているよう。これがたまらなくいい。(大江田信)
 

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