Johnny Russo and Friends ジョニー・ラッソ / Only Just A Dream
このところ訳あってジョニー・ラッソのレコードとCDを聞きまくっている。
こうして一人の人の音楽をまとめて聴いていると、ジョニーの場合は30年余の時間になるのだけれども、その長い時間を通して変わらないもの、彼の体の中をずっと流れているものに、ふと気づくように思う。
「Dream」。たぶんこれが、ジョニーを語るにふさわしい言葉だろう。
まるで幻のようなはかない夢だったと、かつて人生を共にした女性を振り返りながらつぶやく「Dream」。
華やかなパリでピカソは絵を描き、ストラヴィンスキーは素晴らしいシンフォニーを書き、シナトラは甘くソフトな歌を歌う。それもみんなボクとキミのためになのさと、愛を思い描く「Dream」。
後ろ向きの切ない夢と、前向きの楽天的な夢とが、まるで森の門番のような大きく無骨な体に同居している。
それがあまりに率直に溢れ出てくるものだから、聞いているこちらの体の中に幸せな気持ちと、切ない気持ちが一緒に投げ込まれてくるような気がする。
ハッピー&サッドな気持ち。笑いながら泣いちゃうような感じ。
背反する気持ちが、一緒に流れる音楽。
ジョニー・ラッソの音楽を聞きまくっているその訳は、あと数ヶ月、秋頃に明らかになります。(大江田信)