Robert Farnon And Tony Coe / Pop Makes Progress

Hi-Fi-Record2008-06-15

「いつもレコードのことばかり考えている人のために。」の見出しの一つに、「1970年代「現代の美術」という画集が漫画代わりだった。」がある。


その中に言わずもがな希有の天才・横尾忠則画伯の作品が取り上げられている。それにしても素晴らしいチョイス(常盤さん宛に描かれた横尾氏のサイン入り!)と、いつ見ても目を奪われるデザイン。


ずっと「欲しい! 欲しい!」と言い続けたら、誰かがくれる、もしくは突然出会うハズ! と、誰が言ったか忘れたけれど僕は常々思っている。というか、信じている。「誰かがくれる」が先にくるのはご愛嬌。甘えん坊なんです。


「うろつき夜太」(小説=柴田錬三郎、挿絵・装丁=横尾忠則、1975年に集英社から出版された完全版)は、ここ数年探していて未だ出会っていない、欲しいもののひとつ。


この本は少し前に竹熊健太郎さんのブログに溺愛の感じられる言葉と竹熊氏所有の本の写真(これも横尾氏のサイン入り!)で紹介されていた。出版されるまでの物語が最高。「うろつき夜太は、全くの自由人です。自由人だからこそ、筆者のほうが、参ってしまった。」これに敵う原稿落ちの言い訳はないでしょう(しかも掲載された)。
この手のレア本は値段も凄かったりするのでいつもは復刻を待つのだけれど、この本を知った頃と同じくらいに所有欲のバイオリズムが頂点に。竹熊さんもおっしゃっているように、以前文章と挿絵で別々に文庫化された。しかし、それはノー・サンキュー! 文庫版というサイズからしてもう…。


「ガチャポン」から始まった業ともいえる熱しやすく冷めやすい哀しい蒐集癖は現実世界のみに留まらない。数日前、新宿にある友人の仕事場に顔を出したところ、仕事さながらの熱いプレゼンテーションを受けた。
推薦されたのはPSP(※ポータブル型のプレイステーション)ソフト「モンスター・ハンター2G」。自由度の高いアクションRPGで、とにかくアイテムを集めなければ強くなれないし、クリアできないゲームだ。
とある目的もあったけれども、友人の熱意にほだされて即購入。ここ数年程、ゲームから離れていたので最初はかなり手こずったもののファミコン世代の意地と矜持(ないかも)で、バーチャル世界で蒐集欲を解き放った。おかげでここ数日寝不足で仕事中に軽い居眠りを連発。大江田さん、松永さんご免なさい。


本日の一枚は


Robert Farnon And Tony Coe ロバート・ファーノン&トニー・コー / Pop Makes Progress


ポップ・アート全盛の時代の空気を切り取ったジャケット・デザインで、タイトルは「ポップが進化をもたらした!」。内容は予想通り60年代のヒット曲のカヴァー集。フォントは割とダサかったりするのだけど、ロバート・ファーノンの洗練されたアレンジが見事でオシャレ。特にバカラックの「Wives And Lovers」、ニルソンの「There Will Never Be」、ナイスです。
キャピトルズをはじめ、この手のイラストのジャケットのレコードはたくさんある。この"たくさんある"っていうのがまたミソで、要するに集めたくなってしまう訳で。


(藤瀬俊)


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