Richard Harris リチャード・ハリス / A Tramp Shining

Hi-Fi-Record2008-08-08

リチャード・ハリスのこのアルバムは
最初CDで買った。


池袋パルコにあった
オン・ステージ・ヤマノで
山下達郎さん大絶賛!」みたいなポップが書いてあって、
20代前半だったぼくは
とくに疑うこともなく、このCDを買った。


しかし、
マッカーサー・パーク長え!」
「曲が地味すぎる!」
「歌の良さがわからない!」
などという理由で、
当時、このアルバムは早々にお払い箱になった。


そう考えると
断じてぼくは早熟とは言えませんな。


実を言うと、
このアルバムを
心からいいなと思うようになったのは
最近も最近、
本当につい最近のことだ。


あるお客さんと
ロス・ブルースというブラスロック・バンドのアルバムを聴いていて
彼らがカヴァーしていた
「イフ・ユー・マスト・リーヴ・マイ・ライフ」が最高だという話になった。


ジミー・ウェッブが書いたこの曲を
ぼくはバディ・グレコのヴァージョンで知っていたので、
それもいいですよと推薦をしておいた。


しかし、オリジナルがどこかにあるはずだとは思っていて、
B・J・トーマスのヴァージョンを聴いたり、
カナダの女性シンガー、
キャスリン・マッキモンの歌もいいなと
ハイファイのストックからたまに抜き出して聴いては
感じ入っていた。


それがどうだ。
この若き日になじめなかった、
リチャード・ハリスのアルバムに
堂々と収められているではないか。


そして、
この名優の歌った
苦くて味わい深いヴァージョンこそ
ジミー・ウェッブの志した正調版であった。


ごめんなさい。
このヴァージョンは最高です。


その日から
ハイファイのサイトの試聴トラックも
この曲に変更したわけです。


この曲は
失うことをおそれない若さではなく
ひとは失うことをおそれるという真実を歌っている。


松永良平、まだまだ学習中。
アナログでこのアルバムは
買い直そうと思ってます。(松永良平


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