Jon Mark ジョン・マーク / Songs For A Friend

Hi-Fi-Record2008-09-01

日本の中古レコード市場には
帯という文化があり、
レコードに帯がつくだけで
値段が十数倍などというアイテムも珍しくはない。


アメリカでは
その帯の役割を果たすのが
シュリンクといわれるもの。


ジャケをぴったりと覆う
透明ヴィニールのことだ。


このシュリンク偏重主義、
いささかやっかいなところがある。


タチのわるい業者が
シュリンクをかける機械を購入して
本来、すでにヴィニールが紛失している商品を
あらたに包装して高値で売りつけようとしてくるのだ。


贋のシュリンクを見分ける方法はいくつかある。


まず、カットアウト盤などの場合、
カットホール、カットコーナーにシュリンクが符号していない。
これはNG。


シュリンクの方式が
60年代には無かったタイプのものになっている。
たとえば背中で貼り合わせたものなど。


シュリンクの内側に
ありえないスレが発生している。


なんだ、どれも
素人目にもわかるものではないか。


そうなのだ。
アメリカの贋シュリンク業者たちの仕掛けは甘い。
よくぞこんなものにだまされるなと
こちらがあきれるくらい。


でも、
偽物でひとをだますときは
堂々としてさえいれば
結構とんでもない嘘でも通じるのだという。


シュリンクアメリカで手にするたびに
だます側の思惑と
だまされる側のいたいけさとが
時代を超えて
ひとの欲というものについて何かを語りかけてくるような気がする。


このジョン・マークのソロ・アルバムについている
シュリンクは本物。


見分け方のひとつ。
年月が経ったヴィニールは
縮むのだ。


縮んでいないシュリンクには
要注意ですよ。(松永良平


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