Peter, Paul And Mary / See What Tomorrow Brings

Hi-Fi-Record2008-09-11

 結成の以前からソロで音楽活動を始めていた3人。ソロ・キャリアを歩き始めていたピーター・ヤーローに、マネージャーのアルバートグロスマンがマリーを引き合わせ、彼女が共演経験のあるポールを連れて来た。


 1961年に活動を始めるや、周囲の注目を浴びる。
 次々と発表したアルバムも好セールスを記録した。ほどなくフォーク・ブームのトップ・アーチストのひとつに数えられるようになる。


 これは人気の絶頂期、1965年に発売されたアルバム。
 グループによる歌唱のほか、このアルバムにはソロによって歌われる作品が、それぞれ1曲づつ、計3曲収められている。
 その意味が、かつては良くわからなかった。今になってみれば、コンサートのなかでそれぞれがソロ・パートを持って来たことがライヴ・アルバムをすぐに聴けば分かるし、そもそもそういう成り立ちのグループなのだと気づけばなんのことはないのだが。


 最近になって、彼らのアルバムに収められたソロ音源のほうに興味が惹かれるようになった。
 ソロの音源(あるいはそれに近い音源)が、少しづつグループとしての音源の枠の中に収まらなくなって行くことと、1970年に迎えることとなるグループの解散とが併行して進行したような気がする。その兆しは、このアルバムの前後から既に始まっているようにも見受ける。
 それでもやはり、1960年代のアメリカを物語る傑作アルバムの一枚と思う気持ちは変わらないのだが。(大江田信)



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