johnny Russo And Friends ジョニー・ラッソ / Swingin’ Happy
ジョニー・ラッソの日本盤CDのアルバム制作が決まり、さて選曲となった時のこと。
候補曲のリストを作った。
ああだ、こうだと並べ替えては、聴いてみた。
そしてビター・スウィート・アメリカ・シリーズ以来、一緒に仕事をしているKさんに、ぼくの考えた候補曲を送った。
Kさんか返事があった。それは、ぜひ「スターダスト」を入れましょうという短いコメントだった。
「スターダスト」は、長い。普段はあまりジャズにはなじみの無い、特に若い世代の女性に手にとってもらいたいという企画の主旨を思うにつけ、冗長な選曲となることをさけようとの気持ちが働いたことから、ぼくのなかでは正直なところ選曲に入れにくい曲という思いがあった。
Kさんのコメントを受けて今一度聴いてみると、やっぱりいい。
ジョニーのボーカルが冴えてる。中間部分のテンポが変わってから丸3コーラスを超える長さを、スキャットのみで押し通している。このスキャットが抜群にいい。その後のトロンボーン・ソロもやんちゃで暖かい彼のフレーズがふんだんに飛び出して、これまたいい。ジョニーここにありという感じだ。
僕の決心がついた。
こうして全篇で8分40秒以上もある「スターダスト」の収録が決まった。
今になって思えば、この「スターダスト」があったか、無かったかで、アルバムの重みが全く違ったものとなっていただろう。収録して、ほんとによかった。Kさんに感謝を込めつつ思う。
良いと思うものを、多くの人の前で良いと思うと表明することは、なかなか難しい。
さらに様々な場面で独りよがりとならぬよう確かめつつ、良いと思うものをやはり良いと思うと胸襟を開いて表明すること、それを何十年も続ける事も容易な事ではない。
それは、自分と会話をしつづけることに他ならないからだ。
ミュージシャンとは、そういう仕事をする人だと思う。
ぼくの20年余の選曲家としての思いを込めたCDになりました。
もう一枚の「Swingin' Sweet」ともども、どこかで手にしていただければ、大変にうれしく思います。(大江田信)