Vincent Lopez ヴィンセント・ロペス/ Come Saturday Morning

Hi-Fi-Record2008-10-25

若いひとたちがやっていることが
わからなくなったら
自分はもう現役ではないという考え方がある。


必ずしもそうだとは思わないが
感性とかセンスを命題にする世界では
そういう恐怖はきっとつきまとうだろう。


ヴィンセント・ロペスは
戦前から活動してきたピアニストで
バカラックやジム・ウェッブのヒット曲をプレイした
このアルバムを発表したとき、
御年74歳。


彼が譜面を相手にして
ただこの音楽を演奏しただけなのか、
それとも音楽そのものを楽しんで
咀嚼してみせたのか。


レコードを聴くと
それは後者だとなんとなくわかる。


トリオ編成の軽い演奏だが、
おじいちゃんと孫が踊るダンスのような微笑ましさと、
気がついたら
孫を放り出して
自分のダンスに熱中しているようなスリルがあって
このレコードが大好きだ。


74歳というのは
ロック・ミュージシャンで言えば
ジョン・メイオールと同い年だ。


ロック・ミュージシャンの高齢化を思うと、
力作、傑作も良いけれど、
ときどき、こういう気の利いた小品を
誰か出さんかねとも言いたくなる。


ロッドじゃない。
ああ、たぶん
リンゴ・スターだったら。(松永良平


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