Exuma エクスマ / Snake
友人がミクシィの日記で、家の前で大きな蛇を見て妹が大きな声を出したという話を書いていた。彼の家は、確か大田区だったはず。都会のど真ん中の東京にも蛇がいるのかと思うと、は虫類が苦手な僕はちょっとぞっとしつつ、そういえばと自分の子供の頃の経験を思い出した。
西に伸びる中央線の中野から一駅、杉並の高円寺で育った。環状７号線がもう出来たか、まだ出来ていなかったか、40年以上も前、東京オリンピックの頃のことだ。家の近く、いつも遊び場としていた路地に人だかりがする。幾人かの大人が集まってなにやら覗き込み、その廻りを子供たちが遠巻きに取り囲んでいる。取り壊しをすることとなった家の床下から、大蛇が出て来たのだという。界隈には戦災にあわなかった戦前からの木造住宅が、まだまだ残っていた。捕まえようにも捕まえきれないほど大きく、数メートルはあろうという蛇が、道路をゆったりと進んでいる。蛇の行く先を追うようにして、中腰の大人たちが少しづつ移動していく。
その蛇の姿を目にしたのか、それとも実際には見ることが無かったのか、覚えていない。子供ごころに恐ろしくて、話を耳にしただけで逃げ出したような気がする。それからというもの、我々ガキ連中は、蛇が出て来た場所と呼び習わしながら、おそるおそる路地で遊んだ。枯れ枝を友だちに投げつけては、蛇が来た〜！と脅かしあった。
エクスマが歌う蛇は、ものすごく大きくて、黒い。呪術的な雰囲気が匂う。アルバム・タイトルは、ずばり「Snake」。
ジャケも本人のペンによるもの。
ごめんなさい、こういうジャケがいまでも一番苦手です。（大江田信）
