Julie London ジュリー・ロンドン / All Through The Night

Hi-Fi-Record2008-11-09

週刊文春の先週号に、「ブスによるブスのためのミニコミ誌の恐るべき説得力」と題された、トレンド記事があった。
「ブスによるブスのためのミニコミ バハマ」が雑誌不況のこのご時世、売れに売れているらしい。


記事によると、創刊号の特集はズバリ


「ブスを自覚しよう!」


目が眩みそうなくらい目映い神々しいタイトルである。「見ちゃいけない。見ちゃいけない。」という無意識の自己防衛から、眩しく感じるのかもしれない。
そして、内容に至ってもブスの処世術、ブスタレントの発言集にブスの歴史&年表を紹介。第二号では極めるべき趣味として「丸い石を探すこと」を提唱。


すごく、読んでみたい。
記載されている言葉が呪いの言葉でないことを願う僕は、恥ずべき"おバカ"よりも、丸い石を探す"おブス"を尊ぶ。ついでに、"オバマ"も。パリス残念! 彼女がこのミニコミを購読したら、きっと大統領になれるだろう。丸い石に「パリス」と書いて投石しよう。


そういえば愛聴してる伊集院光さんのラジオ番組の「音」を使った百人一首のコーナーで「どブス」は季節を選ばぬ人気"季語"だ。いわゆる"おバカ"は一過性の流行だと思うけれど、「ブス」は不滅の文化である。滅私奉公をイケメンの方々に推奨したい。"ラーメン"と"つけ麺"が一過性かどうかは知らない。


「ブス」の同義語で「非モテ」という言葉が生まれた。そして、「腐女子」「喪男(モテることを拒否した男、という意ーモダンと読む)」という敬称(または蔑称)が生まれたのもここ最近。「喪男」については、「喪男(モダン)の哲学史本田透著」で詳しく語られているので、知りたい人は是非。
言葉は柔軟なもので「ブスかわいい」とか「キモかわいい」という言い方もある。マイナスからプラスへと印象を導く便利な言葉だ。


本日の一枚は


Julie London ジュリー・ロンドン / All Through The Night


美しいオトナのオンナが歌うジャズ。


僕はやっぱり美しい女性が好き。それは「やっぱり猫が好き」と同じ感覚で。
ジュリー・ロンドンの棘があって、ふてぶてしい感じ、色気があるというか魔性というか、たまりません。


上に挙げたミニコミがネガティヴ一辺倒であってはならないと思うし、恨み辛みだけなのはノー・サンキュー。
今ここに書いている間に頭の中流れたのは映画「ロシュホールの恋人たち」で、歌のタイトルは忘れたけれど「心は黄金!」と歌うシーン。うっかり泣いてしまったのを思い出した。


(藤瀬俊)


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