NRBQ / Kick Me Hard
「テンダリー」という曲が好きだ。
知らないイージーのアルバムを買付するときに
もし試聴ができない店だったら
「テンダリー」が入っているかどうかは
確かな基準になりうる。
その証拠に
今日現在で
ハイファイで販売しているアルバムで
曲目で検索して
「テンダリー」を収録しているものは全部で7枚。
ヴィラ・フォンタナ
ハイローズ
カマラータ
ドロシー・ドネガン
トニー・モトーラ
フランキー・カール
NRBQ
これまでの販売実績を調べてみたら、
50枚以上見つかった。
気がついていないものも含めたら
きっともっと増えるだろう。
このコードがとか、ここのメロディがとか
具体的に説明できたらいいのだが
残念ながら言葉を持たない。
ただ、曲のうねりというか
メロディのなだらかな凸凹に
離れたところにいるひとや、
離れた大切な場所を思う
間接的な愛情表現みたいな機微があって
そこが気になっているのかもしれない。
ずばり「好きです」ではなく
「優しく」という愛情表現は、
まるで平安の和歌みたいでもあるし
照れ隠しであると思えなくもない。
NRBQのベスト盤をいつか選曲できる機会があったら
「テンダリー」は絶対に入れたい曲のひとつ。
美しく始まって
やぶれかぶれで終わる。
それはこのバンドの美学であり
詩情そのものだなあと思うからだ。
ライヴで聴けたら
死んでもいいと思う曲のひとつ。（松永良平）
