Werner Muller ウェルナー・ミュラー / A Sentimental Journey

Hi-Fi-Record2008-11-25

町山智浩アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」を
一気に読み通した。


アメリカ買付に行っている身には
世情が身にしみすぎる一冊。


アメリカン・ドリームを語るなら
アメリカン・バッド・ドリームも知っておいた方がいい。


それは単にためになるからではなくて、
その方が何倍もアメリカの裏表を楽しめるからなのだが、
今は世の中が深刻なので
笑ったり
あきれてばかりもいられない。


しかし、
そんなアメリカ人でも
たとえどんな身なりの、
どんな人種のひとでも、
素直に尊敬したいこをひとつ挙げておきたい。


それは
ドアを開けたとき
誰か次に来るひとがいたら、
そのひとが到着するまで
ドアを開けたまま待っていてくれること。


そんなの当たり前だよと
胸を張って言えるだろうか。


アメリカで暮らしている日本人女性と
「そう、
 こっちはドアの開け閉めはすごくちゃんとしてる」と
盛り上がったことがある。


そういうアメリカは
なくならないでほしい。


すれ違ったら
知らないひとでも「ハイ」と挨拶するとかさ。


変な話だが
買付の旅が
この先の社会情勢の変化で
何かとやりにくくなっていって、
センチメンタルな旅になってしまわないように
結構、まじめに
祈っているのだけれど。(松永良平


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