Howard Yearwood ハワード・イヤーウッド / Saddleback
収録のNew Camptown Races(New Champtown Racesは間違い。New Camptown Raceが正解です。藤瀬クン直してくれないかなあ)は、フランク・ウェイクフィールド作曲による60年代ブルーグラスの名曲。フォークウェイズにおけるレッド・アレンのリーダー・アルバムで発表された。この時のバンジョーがビル・キース。
このビルのクロマチック・バンジョーが、革命的な奏法として話題を呼び、一世を風靡した。
クロマチック・バンジョーとは、バンジョーでクロマチック・スケールを弾く奏法のこと。ドレミファソラシドなどといったスケールを、実に巧みに弾く。バンジョーの1弦と2弦と3弦の間が3度でチューニングされていることを利用したテクニックだ。
分散和音を弾くための楽器だと思われていたバンジョーが、思いもかけないフレーズを弾くことを証した。まるで機械が演奏しているような、不思議な気分を残す奏法なのだ。
楽器の奏法には、節目ごとに奇抜で図抜けた天才が現れる。もう開発され尽くしたと思われているところに、新たな技術をもたらすプレイヤーが登場する。これに立ち会うことができたら、実に面白いのだ。
ハワード・イヤーウッドのギターは、クロマチック・バンジョーのニュアンスを残したフレージングだ。
オリジナルから10年余を経てのち、オリジネーターのビル・キースへの敬意の表現と聞こえる。(大江田 信)