Nino Tempo And April Stevens / Sing The Great Songs

Hi-Fi-Record2008-12-22

なんだかんだ言っても
アメリカの音楽界というのは
やっぱりおもしろいところだと
つくづく感じるときがある。


セレブリティの秘密の発言集というお題目の
半ばプライベート・リリースなのであろうCDを
友人に紹介してもらったことがある。


酒に酔ったマイク・タイソンの暴言や
ラジオに出演した有名人の失言などを集めたもの。


ゴシップと違うところは
すべて「本人が本当にしゃべってます」ということ。


シリーズを重ねているというので
「どこで売ってるの? アマゾン?」と訊いたら
「アマゾンで売ってるわけないじゃないか!」と笑われた。


ニノ・テンポの話は
そのCDに入っていたのかどうか記憶があやしいが、
彼が80年代か90年代にラジオ出演して
自らの音楽キャリアを振り返るものだった。


その中で
妹のエイプリル・スティーヴンスとリメイクした
「ふたりでお茶を(Tea For Two)」の話が出てくる。


彼らのヴァージョンは
軽快で明るくて気の利いたパーティー・ナンバー風に仕上がっていて
DJナンバーとしてハイファイでは長いこと人気がある。


「チャンポレ、チャンポレ、ティナナ、ティナナ」と
意味不明のお囃子が入っていて、
それが楽しさをスパイシーにふりかけているのだ。


ところがニノの話を聞いてビックリ。
あのお囃子には思いがけない裏話があった。


以下、記憶をもとに語り口調で要約&再現してみる。


「あの曲はもともと古い曲だけど、
 「tea」ってのが60年代には
 「マリファナ」を指すスラングになってたわけ。
 あのお囃子には最初意味なんかなかったんだけど、
 うしろにつけた「ティナナ」ってのが
 南部のスラングでこれまたマリファナなんだ。
 そうしてみなよ、きっとおもしろいぜ
 ってぼくら兄妹に笑いながら提案したのが
 アーメット・アーティガンだった。
 アトランティック/ATCOの社長だよ」


こんな話、
ポップスの教科書には
まず載らないな。
大好きです!(松永良平


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