Bing Crosby / I’ll Sing You A Song Of The Islands

Hi-Fi-Record2008-12-24

 今から10数年前、カリフォルニアの高校に留学していた女性の友人によると、彼女のクラスメイトはトヨタソニーアメリカ企業と信じてやまなかったということだ。
 いくら日本の会社なのだと説明しても、そんなはずがないと言い張るのよと、笑いながら回想していた。



 そうかもしれないなあと思う。
 アメリカ以外のことをあまり知らないアメリカ人って、たぶん相当に多い。
 これが70年近くも前の1930年代となれば、推して知るべしなのかも。



 ディズニー映画「ラテン・アメリカの旅」が、南米諸国の紹介に寄与したのと同様に、本土におけるハワイの紹介にはハリウッド映画、なかでもビング・クロスビー主演の「ワイキキ結婚」(1937年)が多大な貢献をしている。
 映画と前後してハワイアンに関心を深めていたビング・クロスビーは、本土においてピカイチのハワイアン・シンガーとなっていった。当時きってのハワイ出身の音楽家たちが、自作の新曲を持ち込んでいる。ビング・クロスビーに断わられて失意の底に沈んだ作家もいたなど、まことしやかなエピソードが残されている。


 
 ビング・クロスビーが、本土におけるハワイ音楽の紹介において、果たした役割は大きい。
 その一端をかいま見せるレコード。彼が歌うハワイアンをひとまとめにしているアルバムだ。


 どこかで間違いなくビング・クロスビーが歌うホワイト・クリスマスが流れているに違いないクリスマス・イヴに。(大江田信)