Martin Mull マーティン・マル / Normal

Hi-Fi-Record2009-01-10

昨日、
小西康陽さん選曲のハイファイお年玉CD「これからの人生。」を
目当てのお買い上げで古くからのお客さんが見えたとき、
何気なくマーティン・マルのこのアルバムをかけていたら、


「これ誰?」


と訊かれた。


マーティン・マルだと知ると
「やっぱりねー」と言いつつ、悔しそう。


それだけ
いちいち小憎らしく洒落ているのだ。


ところで、このアルバムは
コメディアンでSSWである彼にとって
サード・アルバムにあたる。


プロデュースを手掛けているのはキース・スプリング。


NRBQのバックでサックスを吹いていた才人で、
彼の手引きもあってのことだろう、
ギターでアル・アンダーソンも参加している。


このキース・スプリングというひとで、
まずぼくが思い出すのは
あのシャッグスを一番最初に発見した、
というか
「これ面白い!」と価値を見いだしたひとだということ。


80年代のNRBQのライヴで、
テリー・アダムスの詩の朗読のバックで
フリーフォームのピアノを彼が弾くというシーンもあった。


むっつりとクールにサックスを吹いている写真のイメージが強いが
かなりの曲者なことは間違いない。


ティーヴ・ファーガソンも見た。
アル・アンダーソンも見た。
初代ヴォーカリストのフランク・ギャドラーも
初代ドラマーのトム・ステイリーも見た。


だけど、
キースは35周年のリユニオンにも参加しなかったので
実はこのひとだけ
まだぼくには謎のままなのだ。


今年はNRBQのデビュー40周年にあたる。
ティーヴ・ファーガソンが闘病中だし、
NRBQ自体もツアーを休止してすでに長い。


今のところ何のニュースも聞かないけれど、
もし何かがあるのだとしたら
すごく会ってみたいのはキース・スプリングだな。


話が脱線してしまったが、
このアルバム「ノーマル」のアブノーマルな匂いには
きっとキースの存在も相当に関わっているはずだ。(松永良平


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