Tony Orlando トニー・オーランド / I Got Rhythm

Hi-Fi-Record2009-01-16

トニー・オーランドとドーンというグループは
「幸せの黄色いリボン」や
「ノックは3回」といったヒット曲のある、
70年代アメリカの人気者。


華やかと言えばとことん華やかで
能天気と言えばとことん能天気で
バタ臭いと言えばとことんバタ臭い存在だ。


中心メンバー、トニー・オーランドのイメージは
ヒゲ、ムナゲ、ロンゲ。
どうしてこんなひとが
人気があったのか
理解にくるしむ。


せいぜい
昔はキャロル・キングら、
ブリルビルディング系の作家とも交流があったよと
60年代ポップス方面から弁護をするくらいか。


70年代に
彼がギンギラギンな感覚で
ホストを務めていたテレビショーが
アメリカでDVD化されている。


あまりにあほくさい内容で
頭がパーになるという評判を聞いたので、
「それを買おうと思ってるんだけど」と
知り合いのレコード店主(アメリカ人)に世間話のつもりで話したら
「金は大切に使え」というような主旨のことを言われ
真剣に止められた。


そうか、アメリカ人のロック・ファンから見ても
トニー・オーランドはNGな存在なのか。


ぼくを含め
日本のロック・ファンは
少年時代に
ドーンやスリー・ドッグ・ナイト、
バーブラ・ストライザンドアンディ・ウィリアムスあたりの
下世話な王道ポップスには近づいてはいかんという教育を
ロック系メディアから受けていたようなところがある。


そのせいもあって
アメリカのショービズの世界と
ヒット曲、有名ミュージシャンとの関わり方について
無知なまま音楽を語っているふしがあるという思いが
ぼくの中にはここ数年ずっとある。


その一端を知りたいという気持ちもあって
トニー・オーランドのDVDを見てみたいのだ、
と言ったつもりだったんだけどな。


なんつって、怖いもの見たさ70%以上。
今度の買付ではきっと買うだろう。


これは70年代末の彼のソロ。
水っぽくて艶っぽくて明るくて踊れる。
たぶん、本当の遊び人だから出せる味で、
そのあたりにもこのひとの人気の謎を
解く鍵があるはずなんだが。(松永良平


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