Andy Williams アンディ・ウィリアムス / Newest Hits

Hi-Fi-Record2009-01-19

アンディ・ウィリアムスの声は不思議だ。


うまさとかを超えた
爽やかな色気というか
晴れやかな切なさというか。


この味を
気づくまで
実は結構時間がかかった。


このアルバムに入っている
「オン・ザ・ストリート・ウェア・ユー・リヴ」を
何気なく耳にするとビックリする。


君の住むこの通りに来て
胸が高鳴っているという主旨の歌なのに、
どこか切なさも漂っているからだ。


でもひょっとしたら
会えないかもしれない。


50年代から60年代初頭のアメリカにあった
晴れやかで輝く未来を見据えた感覚を
“多幸感”と言ったりするが、
実は昔の“多幸感”は
思っているよりずっと表現のハードルが高い。


きっと出来るよ
きっと会えるよ
だけでは簡単に感動できない。


そこに
かなわないかもしれないという
切なさや儚さがきちんと読み込まれていなければ
いけないという遺伝子が
当時の一流と呼ばれるひとたちにはあった気がするのだ。


それは、
こうしなくてはいけないと教わってわかるものではないし、
ひょっとしたら本人も自覚してはいない。
天性なのだと思う。


アンディ・ウィリアムスのレコードを
大きな大きな音で聴くと
やっぱりかなわないなと
ぼくは本気で思う。(松永良平


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