Jack Elliott ジャック・エリオット / Young Brigham

Hi-Fi-Record2009-01-21

 ジャック・エリオットは、ボブ・ディランが憧れたフォーク・シンガーとされる。ディランは1941年生まれ、ジャックは1931年だから、ちょうど10歳ほど歳上のお兄さん世代だ。



 このアルバムの最終曲には、ジャックがアーロ・ガスリーに歌いかける作品「Goodnight Little Arlo」が収録されている。アーロはウディ・ガスリーの息子。ジャックはウディに憧れて、歌の旅を共にしたことがある。
 アーロは1947年生まれだから、このアルバムが発表された1968年には、20歳を過ぎた頃だろう。アーロの幼い頃から、二人は交遊を持っていたに違いない。



 「やあ、アーロ。聴こえるか? 今、カリフォルニアにいるんだ」と呼びかける声から始まっている。スタジオからアーロに電話をかけるように、歌いかけるシチュエーションだ。



 「ヘンテコリンな人たちとアルバムを作ってるんだ」とジャックが言うと、クスクスといった周囲の笑い声が混ざる。参加してるのは、ミッチ・グリーンヒルやマーク・スポエルストラ、リチャード・グリーンなど、ジャックよりも少し若い世代。ビル・リーや、プロデューサーのブルース・ラングホーンなど、ほぼ同世代の顔ぶれも見える。ジャックが歌い始めると、周囲がコーラスに参加する。なごやかな印象でアルバムが閉じられる。
 ジャケットに賛辞を寄せているのは、ジョニー・キャッシュだ。



 ジャックの交友録の一端が見える。(大江田信)