Los Indios Tabajaras / Casually Classic
ロス・インディオス・タバハラス、クラシックを弾く。
ギターの為に書かれたタレガの「アルハンブラの宮殿」をはじめとして、ショパンのピアノ曲、チャイコフスキーのバレー曲、バッハのフーガまで、二人のギターが演奏する。
振幅の激しいしテンポの揺れを、主旋律と伴奏とがピッタリの息で演奏する事に驚く。実に巧みだ。
超絶な技巧が登場しても、その様に変わりがない。
それしても、彼らの演奏から汗を感じない。例えばリムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」など、こんなに難しい曲を弾いても、汗臭くないのだ。クールでひんやりしている。
もしかするとこれは、彼らの音楽の最大の持ち味かもしれない。どこかしらメタフィジカルな場所に連れて行かれる音。コンピュターの作り出す音楽のすぐ近くにありそうに感情が抑えられていて、それでいて人の手による音楽。
ロス・インディオス・タバハラスは、どんな曲を演奏する時も、素材の側に立ち行くことがないとも言えるかもしれない。自らの美意識に引き寄せる。
それが、とても成功しているアルバムのように思う。(大江田信)