Billy Byrd ビリー・バード / I Love A Guitar
肩をあらわにしたワンピースを着た10代の少女が草むらに横たわり、ギターを抱えているジャケット。
まずこれに惹かれて。
針を落としてみると端正なギターのプレイに、思わず耳がそばだつ。よく知られたカントリー・ソングのメロディを、ギターがトレースする。そのフレージングの絶妙のタイミングと、澄んだ音色が気持ち良い。
そういえば日本の演歌のメロディ・ギターの第一人者、木村好夫さんの演奏が実に素晴らしいことに長いあいだ気づかなかったことを思い出した。
ただメロディをトレースしているだけ。上手いのだか、下手なのだか分からない。アドリヴをバリバリ弾く人の方が上手いのではないかと思ってしまうのはもっともなのだが、たとえばこのアルバムのビリー・バードの「ユア・チーティン・ハート」のギターの素晴らしさに気づくようになった耳は、こんどはあまり上手くないギターが分かるようになっている。たぶん、そういうことなのだと思う。
その良さに気がつくと、これは口で説明するのが難しいのだが、ある種の高みに達している音と分かるのだ。(大江田信)