Malvina Reynolds マルヴィナ・レイノルズ / Malvina Reynolds

Hi-Fi-Record2009-01-24

 シーカーズが歌った60年代のヒット曲のひとつに「朝の街に日が昇る」がある。
 リード・ヴォーカルのジュディス・ダーハムの透明な声が晴れやかな響く、清々しいメロディだ。


 作者はマルヴィナ・レイノルズ。齢60に近くなってから彼女の書いた作品が、多くのシンガーに歌われるようになった。これが60年代の初頭。ピート・シーガージョーン・バエズなどのフォーク・シンガーが好んで採り上げた。


 シーカーズ版しか知らずにいたところ、こんなアルバムに作者の自唱版があった。
 マルヴィナの娘や息子の世代のミュージシャンたちと、楽しげに制作されている作品だ。


 マルヴィナが歌う「朝の街に日が昇る」は、シーガーズ版とだいぶ趣が違う。
 ちょっとビックリするくらいにインナーな印象だ。内に向かって素朴に歌われている。



 Morinigtownを目指す汽車に、子供達が乗り合わせている。子供たちが汽車を動かしている。そんな風景を歌う。
 おそらくこの歌のポイントは、この歌詞にあるのだろう。

Somewhere there is sunshine, somewhere there is day
Somewhere there is Morningtown, many miles a-way

 まるで走り行く汽車を、来るべき次の世代への希望と比喩しているかのようだ。
 マルヴィナの声が、深い願いを語っているように聴こえてくる。それが、とてもやさしい。(大江田信)




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