Malvina Reynolds マルヴィナ・レイノルズ / Malvina Reynolds
シーカーズが歌った60年代のヒット曲のひとつに「朝の街に日が昇る」がある。
リード・ヴォーカルのジュディス・ダーハムの透明な声が晴れやかな響く、清々しいメロディだ。
作者はマルヴィナ・レイノルズ。齢60に近くなってから彼女の書いた作品が、多くのシンガーに歌われるようになった。これが60年代の初頭。ピート・シーガーやジョーン・バエズなどのフォーク・シンガーが好んで採り上げた。
シーカーズ版しか知らずにいたところ、こんなアルバムに作者の自唱版があった。
マルヴィナの娘や息子の世代のミュージシャンたちと、楽しげに制作されている作品だ。
マルヴィナが歌う「朝の街に日が昇る」は、シーガーズ版とだいぶ趣が違う。
ちょっとビックリするくらいにインナーな印象だ。内に向かって素朴に歌われている。
Morinigtownを目指す汽車に、子供達が乗り合わせている。子供たちが汽車を動かしている。そんな風景を歌う。
おそらくこの歌のポイントは、この歌詞にあるのだろう。
Somewhere there is sunshine, somewhere there is day
Somewhere there is Morningtown, many miles a-way
まるで走り行く汽車を、来るべき次の世代への希望と比喩しているかのようだ。
マルヴィナの声が、深い願いを語っているように聴こえてくる。それが、とてもやさしい。(大江田信)