Gary McFarland And Peter Smith / Butterscotch Rum

Hi-Fi-Record2009-01-27

今日の昼間、
このアルバムを店頭に出すために
検盤がてらお店で流していたら、
ラスト・ナンバーの「パトリシア」にさしかかったとき、
とある常連のお客さんに
「すごく今っぽい音ですよね」と言われた。


“今っぽい”というのは
現代的なテクノロジーという意味ではない。


なんとなく先行きが不安で
なんとなく元気がなくて
それでもなんとなく
落ち着いている。


そういうムードのことだ。


かつてのにぎやかで野心的な時代を望むのではなく、
今を肯定して生きるには
どういう覚悟が必要か
このアルバムのサウンドは切なく告げている。


それがアルバムのテーマというわけではなく、
時代を超えてそういう錯覚を起こさせるのだ。


ゲイリー・マクファーランド
このアルバムを発表した71年、
お酒と常用していた薬の副作用で突然に亡くなってしまう。


死期を予感させるものなどなかったはずだが、
このアルバムには、
自分がそれまで追求してきたはずの
徹底的に心地よいサウンドに対して
どこか腑に落ちない風情がぼんやりと漂っている。


今年は
結構このアルバムを聴き返すかもしれない。(松永良平


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