Mort Garson モート・ガーソン / Love Sounds

Hi-Fi-Record2009-01-28

 アメリカでの買付の際には、レンタカーで移動する。
 道路に設けられたパーキング・スペースか、駐車場に車を留めて目指すディーラーの家を訪ねたり、ショップを目指す。


 車の駐車方法のひとつ、Valet Parking。例えばホテルの場合、車寄せに車を留めてベル・ボーイにキーを渡し、パーキングに車を留めて来てもらう。
 最初に経験したのは、ハワイのホテルでの事だった。現地の人に聞くと、車を止めて来てもらう時、または持って来てもらうとき、チップを1ドルくらい渡せば良いんだよとのことだった。パ−キングが離れていたり、そもそもあまり大きくないパ−キングに所狭しと車を詰め込むような場合は、Valet Parkingになっているようだ。ホノルルではちょくちょく見かける。


 ちょっとした都会の街を走っていると、とても人気のあるレストランがあって、それは店の数ブロック前からわかる。夜ともなると人々のざわめきがあふれている。テーブルがサイド・ウォークのギリギリに設けられていて、ウエイトレスやボーイは、歩道にはみ出しながら歩いて注文を取り、料理を運ぶ。
 そういう店の前には、車を止める独自のスペースが取られている。その前にはちょっと怖そうなお兄さんが立っている。


 それがValet Parking用のものだと知らなかった頃のこと。平気で車を止めて、そこからレコード・ショップを目指そうとしたことがあった。もちろんお兄さんに見とがめられて、ここはパーキングする場所じゃないんだぞと忠告される。
 始めの頃は、どうして停めてはいけないのか、全くわからなかった。
 なるほどValet Parkingなのかと分かってくると、目指すレストランに行くには、それこそラクチンな方法。これは助かるぞと思うのだが、困った事にValet Parkingと書かれた看板は有るのに、車を止めて待っていてもどこからもお兄さんが来てくれないこともある。
 看板には地図が書いてある。よく読むと、自分で遠くの駐車場に車を止めに行かなければならなかった。


 レストランの前に車を止めた時、店の中から聴こえてくるざわめき。
 楽しげで華やかで。食欲をツンと刺激するサウンドだ。笑い声が広がる。街の気分。
 そんな風景を思い起こさせるのが、「Chile City」に混ざり合うガヤ・ノイズ。
 思わず繰り返し聞いてしまう。
 クリームソースとひき肉とグリーンピースが濃厚にからまったパスタの味が、脳裏に浮かんだ。(大江田 信)



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