Christian Seguret クリスチャン・セグェ / Old Fashioned Love

Hi-Fi-Record2009-02-01

「今度会うときは、上から目線で話しますよw」


"イケメン"、世にはばかる。


"いじめっこ"、は世にはばからない。


何より最初に万能感を壊してくれるのが、美醜の問題だろう。努力しても、勝てっこない。そんなイケメンと久しぶりに出くわしてしまった。


イジメ、かっこわるい。


イケメン、かっこいい。


イジメなんて孤独を愛せるならば、きっと乗り越えられる。"イケメン"の定義はもちろん人それぞれだけど、中には定義もなにも関係のない、ただただ美しい人間がいる。


先週の土曜日、僕が数寄で参加しているユルいイベントが終わった直後、美しいその男は現れた。


「お〜! Aランくんじゃないの。久しぶり!」 店主が声をかけると
「お久しぶりです! お元気ですか!?」と、爽やかにAランくん。


店主から紹介を受け、軽い自己紹介から会話がはずんで名刺交換。しかしながら、彼はその時名刺を持っていなかったようで、僕のほうだけ渡した。


Aランくんは沢尻某と同じくフランス人と日本人のハーフ。東北生まれの奥ゆかしい一面と、知的なスケベ心を併せ持つ溌剌としたナイスガイだった。大手の某音楽事務所に就職が決まっているという。


「いやぁ〜、デザインとか何でもいいんだけど、なんか仕事あったらクレクレタコラ〜。ゲヘヘッ!」


そこで冒頭の言葉を頂戴した。
彼が気を許してくれたからか。いや、おそらく僕が卑しい営業をしたせいかな。店内の照明は暗かったのだけれども、彼の身振り素振りがいちいち眩しかった。


Christian Seguret クリスチャン・セグェ / Old Fashioned Love


クリスチャン・セグェはジャンゴ・ラインハルトアメリカのルーツ・ミュージックに憧れたフランス人ギタリスト。若くして才能を開花させた腕利きにして、その小粋な佇まいたるや、イケメンでデキル男であるAランくんを想わせるのです。


Aランくんと店主は、お店が片付いたらオルガンバーのイベント「BY-PASS」へ向かうということだった。僕は赤ワインを飲み過ぎてしまい、ふらふらのグロッキーだったので辞退。


僕の好きな「Old Fashioned」なフランス映画に出てきそうなAランくん。思春期に大いに感化されたあんな映画やこんな名画のことが想われて、懐かしくこそばゆい気分の中歩いた帰り道が心地よかった。


何様だよ、Aランくん。ズルイわぁ。上目遣い練習します。


(藤瀬俊)


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