Neil Sedaka ニール・セダカ / Sedaka’s Back

Hi-Fi-Record2009-02-07

 他愛も無いポップスというレトリックがあって。毒にも薬にもならないティーン・ネイジャー向きのポップスという意味に使われる。


 そうしたタイプの音楽の量産工場だったブリルビルディングを経験したうえで、シンガー・ソングライターの時代にになっても創作力で生き延びた作家=シンガーとなると、まず思い浮かぶのはキャロル・キングということになっている。
 「オー・キャロル」とキャロル・キングに歌いかけ、その返歌として「オー・ニール」を受けとったニール・セダカの名前は、まず浮かび上がってこない。



70年代に入って不遇の時代があったという。自分の音楽が受け入れられなくなったことを背景にして書かれたとも言われる「雨に微笑みを」が、復活の全米1位ヒットとなったというのも、なんだか皮肉な話だ。



 注意深く聴くと巧みなコード使いと、メロディの展開に驚かされる。でも、あくまでも他愛も無いポップスの佇まいを崩さない。それがいい。
 プロの仕事だと思う。(大江田 信)


Hi-Fi Record Store