Mike Wilson マイク・ウィルソン /
レコーディングをした場所として、Bob's Place と書かれている。彼の名前はMikeなので、たぶん友人の家のことなのだろう。
アメリカのフツーの一戸建て住宅の場合には、当たり前のよう地下室が備えられていて、これまで覗いた限りでは、洗濯物を洗って干す場所か、子供部屋か、レコードの倉庫か、オーディオ部屋か、だいたいそんな感じだった。
そこが録音場所としても不思議ではないし、もしかするとA&Mのファースト・シングルではないが、ガレージがレコーディング・スタジオになっていたのかもしれない。
そんなことを思ったのは、歌詞カードに配された手作り感溢れる木造スタジオの写真を好ましく眺めたからだ。
今一度、こうした仲間が集って作られたレコードに気持ちが惹かれている。
仲間と共に手作りをしたレコードの、それも70年代のシンガー・ソングライター系のアルバムに、なにか共通する空気を感じる。
デジャヴな気持ちになる。古い友人から、久しぶりの挨拶状をもらったようとでも言えば良いのか、かつて自分が通って来た道筋を振り返っているようとでもいえばいいのか。
きどらないこと、それがとても好ましく思える。(大江田 信)