Rod McKuen ロッド・マッケン / Cycles
ちょっと前のアメリカ買付中、
車の中での会話。
相手は当店店主の大江田さん。
松:昔の日本の曲で
女のひとがかわいい声で
ギターを弾いて、とか何とか歌うしずかな曲がありましたよね。
大:「真夜中のギター」だね。
歌っていたのは千賀かほる。
松:ああ、あれって“ちが”って読むんですか。
大:ラジオの深夜放送華やかなりしころでさ。
落合恵子さんの語りが入った曲とか、
そういう親密さが受験生を励ましていた時代だよね。
松:ちょっと色合いは違うかもしれませんけど、
シェルビー・フリントのファースト・アルバムとか
思い出します。
大:ああ、そうかもしれない。
ああいうとろんとしたしずかな雰囲気と言えば、
荒木一郎の「空に星があるように」も
そんな感じがする曲だった。
松:言われてみればそうですね。
荒木一郎は日本のロッド・マッケン?
大:いや、それはどうかな。
でも、活動が多岐にわたっていて
とらえどころがないところとか
確かに言い得て妙かもしれない。
松:それにしても
千賀かほる、ってすごい芸名ですね。
「血が香る」って……。
大:ああ、また話が転がりはじめた。
B型ってやつはこれだから……。
退屈な広い広い風景の広がる一本道を
話だけはぐるぐるとまわりながら
また次の話題へと転がっていった。(松永良平)