Franck Pourcel Et Son Grand Orchestre / Amour, Danse et Violons

Hi-Fi-Record2009-02-28

 フランク・プウルセルには、「Amour, Danse et Violons」と題されたシリーズ作品が50作以上ある。50年代から80年代まで、一つのシリーズ名のもとに作品を作り続けた。これはすごい。他に同様の例があるのだろうか。


 それぞれに時代のヒット曲を採り上げたり、作家のソング・ブック・アルバムにしたりと独立した企画のアルバムづくりになっている。全体を貫くのは、ポップス・オーケストラの醍醐味だ。ファンの方は、このシリーズ名をADVと略して称する。


 20作目のジャケットには、レコーディング風景の写真が用いられた。
 実際のこのままの姿で録音されたのか、それともこれはジャケット写真用に用意されたものか解らないのが残念だが(おそらく前者だと思う)、クラシックのオーケストラとは楽器の並び方や、編成の作り方が相当に違うことがよくわかる。
 モニター・スピーカーが置かれていない。ヘッドフォンもしていない。耳に響いて来るサウンドを頼りに、レコーディングしていたのだろう。


 弦のセクションを左側にまとめ、右側にリズムセクションをまとめる配置は、カラベリが公演の際に団員をステージに並べる方法と同様だ。
 カラベリの楽器配置は、数多くのレコーディング・スタジオでの経験によって生まれた対応からくる慣れを理由にしているのかなと、ふと思う。(大江田信)

 

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