The Cowsills カウシルズ / Captain Sad And His Ship Of Fools
吉野家の話、
大江田さんがまだ書いていないことがあるので
さらに続ける。
とある買付のときのこと。
無性にYoshinoyaに行きたくなり、
朝からそのことばかり言っていたら、
いつの間にか
その“食いたい病”が運転席の大江田さんにも
伝染していたらしかった。
お互いにビーフ・ボウルを一杯ずつ注文。
日本では吉野家にほとんど行かないと公言している大江田さんは
妙にそわそわしている。
大:箸がいるね。
松:ぼくはこのフォークで大丈夫ですよ。
大:紅ショウガはどこだろう?
松:ソーダ・ファウンテン(ドリンク無料マシーン)のそばで見ましたよ。
大:(むしゃむしゃ)うまいねえ。日本と何が違うんだろう?
松:米ですかね。あと肉の量は最初から“特盛”以上ですからね。
大:そうだな。この米とは合うなあ。
松:ツユダクに出来たら申し分ないですけどね。
英語では何て言ったらいいのか?
“more juice”かな。
大:(完食)ぷふ〜う(ほほえみ)。
松:(まだ食事中)。
大:(手持ち無沙汰気味にしげしげとメニュー板を見る)ねえねえ、
ぼくらが注文したのはレギュラー?
松:そうですよ。
大:そうかー。ラージ(大盛)にすればよかった。
何か物足りなくて。
松:もう一杯食べたらいいじゃないですか。
大:本当に? いいの? どうしようかな?
松:本気ですか? 知〜らない!
そのあと、
むずがる大江田さんを何とかなだめ(追加注文は無しで)、
そのかわりYoshinoyaの外で
記念写真を撮ったのだった。
妙にはしゃいでいる日本人ふたりの姿を見て
中にいたお客さんたちは、
このジャケみたいに
しげしげとこちらを見つめる顔になっていたかもしれない。
牛も知ってるカウシルズの
サード・アルバムより。(松永良平)