The Cowsills カウシルズ / Captain Sad And His Ship Of Fools

Hi-Fi-Record2009-03-08

吉野家の話、
大江田さんがまだ書いていないことがあるので
さらに続ける。


とある買付のときのこと。
無性にYoshinoyaに行きたくなり、
朝からそのことばかり言っていたら、
いつの間にか
その“食いたい病”が運転席の大江田さんにも
伝染していたらしかった。


お互いにビーフ・ボウルを一杯ずつ注文。
日本では吉野家にほとんど行かないと公言している大江田さんは
妙にそわそわしている。


大:箸がいるね。


松:ぼくはこのフォークで大丈夫ですよ。


大:紅ショウガはどこだろう?


松:ソーダ・ファウンテン(ドリンク無料マシーン)のそばで見ましたよ。


大:(むしゃむしゃ)うまいねえ。日本と何が違うんだろう?


松:米ですかね。あと肉の量は最初から“特盛”以上ですからね。


大:そうだな。この米とは合うなあ。


松:ツユダクに出来たら申し分ないですけどね。
  英語では何て言ったらいいのか?
  “more juice”かな。


大:(完食)ぷふ〜う(ほほえみ)。


松:(まだ食事中)。


大:(手持ち無沙汰気味にしげしげとメニュー板を見る)ねえねえ、
  ぼくらが注文したのはレギュラー?


松:そうですよ。


大:そうかー。ラージ(大盛)にすればよかった。
  何か物足りなくて。


松:もう一杯食べたらいいじゃないですか。


大:本当に? いいの? どうしようかな?


松:本気ですか? 知〜らない!


そのあと、
むずがる大江田さんを何とかなだめ(追加注文は無しで)、
そのかわりYoshinoyaの外で
記念写真を撮ったのだった。


妙にはしゃいでいる日本人ふたりの姿を見て
中にいたお客さんたちは、
このジャケみたいに
しげしげとこちらを見つめる顔になっていたかもしれない。


牛も知ってるカウシルズの
サード・アルバムより。(松永良平


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