Martin Mull マーティン・マル / Martin Mull
Yoshinoyaの話を続けます。
アメリカのYoshinoyaにあって日本の吉野家に無いもの。それはデザートのケーキ。
ドリンク付き、そしてデザート付きのビーフ・ボール・セットには、1/8カットのチョコレート・ケーキが用意される。何人もの女性たちが、これを食べている場面を見たことがあって。Yoshinoyaは基本的にテーブル方式の店内で、カウンターが無い。なので店内を歩いているうちに、つい人様のメニューの様が見えてしまう。それに日本よりも遥かに女性客の姿を見かける。どうしてかな。
日本の吉野家にあって、アメリカのYoshinoyaに無いもの。まずそれは生卵。もちろん半熟卵もない。
アメリカ人は生卵を食べない、いや都市部では食べるなどと、それぞれに意見もあるようだけれども、いずれにしてもあまり見かける姿ではないように思う。
カナダのとある街ですき焼きを食べた時のこと。給仕をしてくれたアルバイト女性が日本人学生の方で、出身の関西風のすき焼きを作ってくれた。お肉に熱が通った頃、生卵に半生の牛肉を浸してかぶりついた。ふと気がつくと周囲の視線にさらされていた。
卵好きのぼくのこと、替えの生卵をもらってすき焼きを食べ、残った卵をご飯にかけたところ、これまた周囲の好奇の視線にさらされた。離れたテーブルの家族連れは、信じられないという顔をしていた。
いずれにしてもYoshinoyaには、生卵が無い。実に残念だ。
マーティン・マルの「Egg Boogie」。
卵のブギウギ。すき焼き鍋の中で踊る牛肉を、取り皿の生卵に浸す風景が浮かぶタイトル。(大江田信)