BLT / BLT

Hi-Fi-Record2009-03-10

今から20年ほど前、
生まれて初めて行ったアメリカで
ハンバーガーショップに行って、
最初に困ったことは
店員がニコリとも笑わないことだった。


その次に困ったのは
「For here? To go?」と訊かれたときのこと。


これは
「こちらでお食べですか? それともお持ち帰り?」
という決まり文句。


それがわかったとき、
日本の英語の教科書は
「This is a pen.」じゃなくて
「For here? (Or) to go?」で始めるべきだと
本気で思った。


だんだん慣れてくると
いろんなものが食べたくなるし、
オーダーの仕方も工夫したくなる。


サラダのオーダーに苦労したことは
以前にも書いた


最近ようやく正解が見つかった疑問は
コンボ(ポテトとドリンク付きセット)ではなく
ハンバーガーだけが欲しいときのオーダーの仕方。


モーテルにビールがあるんだから
余計なコーラは要らないんだというときがある。


「Hamburger only, please」と言ってみて
こちらの要望を伝えたつもりで、
確かに伝わってはいるみたいだが
どうも腑に落ちない顔を店員がしている。


ああ、きっと言い方が間違っているんだと
こちらもわかってはいるものの
店員さんがそれを正してくれるわけではない。


そういうときは
列に並んでいるあいだに
先着のひとたちのオーダーの仕方に目を凝らし
耳を澄ましてみる。


正解は
「Just sandwich.」だった。


たとえ意味的にはあっていても
英語の世界での決まり文句をつかんでいないと
意外と苦労するし
苦虫もつぶす。


「Just Sandwich.」も教科書に載せておきましょうよ。


しかし、
あえて言わせてもらえば、
ぼくらはハンバーガー屋さんにいるわけで、
ハンバーガーをサンドイッチと言うとは
お釈迦様でも思わないよねえ?


“サンドイッチ”と言えば、
このBLTみたいなやつだろ?


なんて強引な引っぱりですが……。


古いジャズを若いセンスで調理した彼らの音楽は、
シアトルの古びたダイナーで食べる
新鮮なBLTみたいに
音楽的な食欲を満たしてくれる。(松永良平


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