林亭 はやしてい / 夜だから
毎々、林亭がらみのネタで申し訳有りませんが、やはりどうにも気持ちが盛り上がってしまって。
先日、レコード・コレクターズ誌の取材を受けた。インタビューは、松永良平氏だった。ハイファイの松永クンだ。林亭の新譜、「風は歌う」にまつわるモロモロを語るインタビューの場だった。
しかしここでは、彼は仕事場の同僚ではない。聖なるインタビューアーである。緊張した。相当に突っ込んだ質問もあって、そういえばああだった、こうだったと他では話したことの無い事柄を思い出しては、精一杯答えた。
北中正和・湯浅学・田口史人編『ラヴ・ジェネレーション 日本のロック&フォーク・アルバム大全1966-1979』 によって林亭のことを知ったとするところから、松永クンのインタビューが始まった。同書には、「冒頭のまるまる1ページを用いて紹介すればよかった」としながら、小さなスペース一杯に林亭の「夜だから」への賛辞が書かれている。著者は田口史人さんだ。この紹介には、1973年にリリースされた際のアナログ・レコードのジャケット写真が用いられている(それにしても200枚しか製造していないと言うのに、関係スタッフの誰がレコードを持っていたのだろう?)
このレビューが掲載されて以来、林亭への風向きが微妙に変わったことは確か。日本のフォーク史を再検証する書物に、林亭がちらほらと採り上げられるようになった。
同書の記事を見て、松永クンは林亭を知り、「夜だから」に興味を持ってくれた。その後にCD化された「夜だから」を見て、「なんだ、ジャケットが違うじゃないか」と思ったそうだ。
それを聞いて、インタビューを受けていた佐久間クンと僕は、思わず笑った。確かに、その通り。「なんだ!」という落胆の気持ちがわかる気がしたからだ。
このほど林亭の「夜だから」は、オリジナルのジャケット写真を用いて無事に紙ジャケで復刻された。
このCDを手に取ったら、松永クンも「なんだ、ジャケットが違うじゃないか」とは思わないだろう。それほどに精巧な復刻に、林亭の二人はとても喜んでいる。
ハイファイ・レコード・ストアでも、お取り扱いを始めた。
ちなみにインタビューは、5月15日発売のレコード・コレクターズ誌に掲載される。
その日まで、じっと身をこらして原稿の掲載を待っている。
試験の合格、不合格を待つ生徒のような気持ちになっているのだ。(大江田信)